経験則で取り組んでいた家族への看護ケアに課題を感じ、エビデンスのある家族看護を学びたい動機をもって大学院入学を決心しました。2年間の学びは、看護そのものの在り方、看護の提供者としての資質、看護が発展してきた歴史、その中で作り上げられてきた理論について、いま一度学び直す、ほかで得ることのできない貴重な時間になりました。また所属病棟に在籍したまま、並行して大学院の授業や研究に取り組むことは大変努力のいることですが、学びのインプットと実践のアウトプットを繰り返し続けた経験が、今の自身の看護観を生み出すことにつながったと感じています。さらにこうした学びを研究会やゼミでのディスカッション、また修士仲間とのたわいのない会話を通して、学びの意味を追求し切磋琢磨した経験によって、専門看護師として、対象や看護に一生真摯に向き合うことを覚悟できました。職場や家族の協力が必要であるという点からも、大学院入学への決心は簡単ではないかもしれませんが、その決心を誇りに思う日が必ず来ます。ぜひ一歩、勇気をもってふみ出してみてください。
企業で産業保健師として働き始めてから、今までの自分自身の活動を振り返ることもなくただ日々の業務に追われている中で、このままでいいのだろうかという気持ちをずっと抱えていました。産業保健という仕事に飛び込んでから考えていた疑問点もあったので、ぜひ研究の手法を勉強して何か今後のためになるような活動に繋げていきたいと思い進学を決意しました。大学院の2年間は楽しいことばかりではありませんでしたが、他の領域の仲間と共に学び語り合う時間はかけがえのない時間となりました。また、改めて自分自身の実践を振り返り専門領域の先生方とディスカッションを深められた有意義な2年間だったと感じています。仕事と大学院の両立についてなど心配や不安もありましたが、背中を押してくれた先生方や職場の上司・同僚には心から感謝しています。この2年間で学んだことやネットワークを大切にしてこれから日々の産業保健活動に生かしていきたいと思います。進学を考えている皆さんも不安や心配もあると思いますが、ぜひ一歩を踏み出してみてください。素晴らしい学びと仲間に出会える日々が待っています。
臨床で看護師としての経験を重ねるにつれ、組織から管理的な役割を求められることが多くなりましたが、私にとって「看護管理」とは、漠然としていてつかみどころがないものでした。しかし、その一方で、私の中で「スタッフがやりがいをもって活き活き働くにはどうしたらいいのだろう」という看護主任としての課題も生じていました。そこで、この答え探しのために東海大学大学院に入学しました。
入学後の研究テーマの絞り込みで、強みを活かして活き活き働くというワークエンゲイジメントの概念に出会い、「これだ!」と気持ちが高揚したのを今でも覚えています。しかし時代はコロナ禍、「活き活き働く」とは程遠い世の中です。そのような中でも、自分を含めた看護師が、活き活き働くためのヒントを研究から見いだしたい、とステイホームしながら探求し続け、満足できる研究成果が得られた修士論文は私の宝物です。
このような貴重な学びが得られたのは、コロナ禍の様々な困難をともに乗り越えた仲間と、妥協なくとことん追求して下さる厳しさとともに温かく理解がある先生方に出会えたおかげです。この出会いを大切にしながら、今後も自らの問いに対する答え探しを続けていこうと思います。(2022年3月)
救命センターに勤務する私は、危機的状況にある患者さんと家族に多く関わり、家族看護の難しさとともにやりがいも感じていました。しかし後輩育成を担う立場になると、家族看護を経験知としてしか語れず、不全感を抱きました。上司に大学院で学ぶ機会があると教えていただき、自身の経験を学術的に再考し、実践や後輩育成に活かせるのではと考え進学を決意しました。
進学と同時に新型コロナウィルス感染症によって社会は一変し、当初は同期と会うことも叶いませんでしたが、オンラインの複数のツールを使いこなせるようになりました。
授業では様々な領域の先生方から多くの知識を学ぶことができました。ゼミで研究や実習事例について院生や先生方と多くの意見を交わした経験は、思考を言語化し人に伝えるための訓練になりました。また、先生方から頂くアドバイスにより視野が広がり、事象を多角的に捉える力に繋がっていきました。
何事にも時間を要する私は、実習と研究の同時進行に挫けそうになりましたが、根気強く指導してくださった先生方と苦悩に共感しながら叱咤激励してくれた同期に支えられ、修士課程を修了することができました。
今後は、快く大学院へ送り出してくださった職場の皆さんに恩返しできるよう、大学院での学びを臨床に還元するため日々研鑽を積んでいきたいと思います。(2022年3月)
私は自身の10年以上に渡る精神看護の集大成として、これまでの独学で到達できなかった知識、結果に納得したいと思い、この東海大学大学院の扉を叩きました。ここでは領域の垣根を越えて家族看護、在宅看護、看護管理、クリティカル、臨床心理、社会福祉等々、興味ある分野の授業に参加できます。精神看護を網羅する領域を学ぶにふさわしいそれぞれのエキスパートの先生方から奥深い知識を享受できることや、その人柄に感化され自分が変化していく喜び、志を同じくする同期と切磋琢磨でき、自己対峙を更に深め、自分に付加価値をつける意味で本当に良き学びの場でした。
仕事をしながらこうして続けてこられたのも、理解ある、穏やかな校風と教壇に立つ先生方の志向の賜物と思います。全ての授業で自由に領域に合った文献、海外文献を読み合わせ、読解し、プレゼンし、知識の共有や意見交換を行いました。そして、前日に学んだ知識を翌日、臨床で再確認するという反復により、これまでには得られない大きな喜びを感じました。修士論文作成の際にも、先生方が、学生の個性に合わせ徹底的に付き合い、指導を進めてくださったことにより安心して取り組めました。幅広い学修の成果をエネルギーとして、社会に還元できるよう取り組んでまいります。この貴重な経験を得て、本当に満足しています。(2021年2月)
私は付属病院に勤務する中、漠然と大学院で学びたいとは思いながらも、2年間の在学期間は長いと感じ、踏み出せずにいました。しかし、学部時代の恩師からの「勉強は自分でするもの」という力強い言葉に引き寄せられ、看護師として成長し続けるためには何が必要かを問い、これまでの看護を振り返りました。その中で、痛みや辛さに耐えながらも懸命に生きようとするがん患者さんを支えたいと必死に関わっていた自分がいたことに気づきました。がん看護を学び、がん患者さんやご家族の助けになる実践力を身につけるためにがん看護専門看護師を目指そうと決意しました。
これまで患者に寄り添う看護を自分なりに実践しているつもりでいました。進学後、改めて看護とは何かを探求し、自己内省する時間は決して楽ではありませんでしたが、仲間や先生たちとの討議を通して、今までが経験知であることを痛感し、理論に基づいた看護実践の必要性を学びました。またCNS実習、修士論文を通して出会ったがん患者さんとご家族が、逞しくもしなやかにがんと共に生き続ける姿に衝撃を受け、だからこそ彼らを支えたいと気持ちを新たにしました。
現在は、専門看護師認定審査に合格でき安堵したと共に、当院初のがん看護専門看護師として、日々奮闘中です。孤独で辛いこともありますが、大学院在学中から応援し続けてくれる上司や同僚に支えられていることが励みとなります。そして何より、私にたくさんの学びを与えてくれたがん患者さんの期待に応えられるよう活動していこうと考えております。 大学院への進学を迷っている方は、是非、一歩前に進んで欲しいです。「私なんか無理。今はまだその時ではない。」と理由をつけるのではなく、思いっきり飛び込む勇気をもつことが大事だと思います。長い二年間の大学院生活は思い返せばあっという間でした。志の高い仲間に恵まれ、看護師としても人間としても成長できる機会が待っています。(2021年2月)
私は集中ケア認定看護師として活動しています。看護ケアが重症患者の心身の回復を促進することは実感していますが、その反面、看護ケアの悪影響について疑問や不安を抱いていました。そこで根拠に基づいた本当に最適な看護ケアを実践したいと思い、大学院で研究を学ぶ決意をしました。研究も重症患者への呼吸ケアを科学的に検証することに取り組み、指導教授をはじめ先生方の指導のもと、実際の患者に介入するという貴重な経験ができ、一生の宝物となるデータを得ることができました。同時に、研究の土台を作るための「ヒト・モノ・時間」の管理や、細かい検証を積み重ねるなど、結果を導き出すための思考や過程を学べました。この研究テーマは、先生方のサポートを得ながら、私の看護人生の課題として継続中です。進学のきっかけとなった看護への疑問や不安も、研究で身に付けた論理的思考や過程を活用し、最適な看護ケアが提供できるようになってきたと実感しています。認定看護師としての自信にもなり、大学院への進学は最良の決断だったと確信しています。 大学院生活は正直辛いですが、費やした学費、犠牲になる日常生活が充実した院生生活への追い風になります。例えば、専攻する領域だけではなく、苦手な分野に挑戦する気持ちが生まれます。そして分野毎に専門性の高い指導やサポート受けながら学べるので、新たな知識や視野、論理的な思考が養われ、自分自身の可能性を発見し、伸ばすための絶好の機会になります。
大学院への進学を迷っている方は、学びたい気持ちを最優先に、まず一歩を踏みだしてください。修了してみれば失うものより得るもののほうが断然多く、進学にかかるものすべてが最高の自己投資になると思います。(2021年2月)
患者さんの病状が悪くなり亡くなられた際に、ご家族が途方に暮れていることや悲しみ、パニックになっていることがありました。この家族は今後どう過ごしていくのかと非常に心配で、病院外では関われないことがもどかしく心残りになっていました。そのような中、家族看護研究会に参加させていただき家族アセスメント方法を知りました。家族支援専門看護師の知識に驚き、私も目指したいと思いCNSコースへの入学を決意しました。
入学後は様々な専門領域の先生方に幅広い知識を教えていただきながら理論を深め、家族アセスメントの手法を学ぶことができました。実習では先生や先輩からたくさんの支援をいただき実際に家族の力をアセスメントしました。理論から支援内容を考え、家族が自宅で過ごしていく様子を描けるようになったことは私の自信と強みになりました。また、がん患者の告知における家族に対する看護をテーマに研究に取り組みました。担当の先生方にご指導をいただきながら内容を深めていく作業は、何かを発見するような期待感の連続でした。研究に向き合う過程は自分との闘いであり辛いこともありましたが、やり終えたときには今まで経験したことのない達成感に包まれ、同級生達と喜び合ったことを昨日のように覚えています。(2021年2月)